狂犬病に対する原因・症状・対処について解説！

狂犬病はウイルス感染症の一つで、動物から人間に感染する人獣共通感染症です。この病気は、狂犬病ウイルス（Rabies virus）によって引き起こされ、感染後に神経系を侵し、最終的には致命的となる可能性が高く、発症した場合の予後はきわめて不良です。感染は主に動物の咬傷や咬傷部からのウイルスの侵入によって引き起こされます。

狂犬病の原因

●　狂犬病ウイルス

ラブドウイルス科の一種であり、動物の唾液中に含まれます。

●　感染経路

主に咬傷や掻き傷、ウイルスに汚染された粘膜を通じて感染します。

●　野生動物と家畜

感染源には犬、猫、キツネ、コウモリなどが含まれます。

狂犬病ウイルスは、動物から人間へ感染する極めて危険なウイルスです。主に感染した動物の咬傷による直接的なウイルスの侵入が原因ですが、傷口や粘膜にウイルスが接触することで感染が広がることもあります。感染経路としては、犬や猫などの飼い主が身近に接する動物だけでなく、野生動物からもリスクがあります。このため、予防には動物との接触を適切に管理することが重要です。

狂犬病の症状

狂犬病の症状は、初期症状、中間期、最終期に分けられます。

○　初期症状

発熱、倦怠感、食欲不振、咬傷部位の痛みやしびれ。

○　中間期

神経症状が現れ、不安感や錯乱、筋肉のけいれんが見られる。

○　最終期

痙攣、麻痺、呼吸困難に至り、治療が遅れると死に至ります。

狂犬病の症状は進行性で、初期段階では一般的な風邪に似た症状から始まります。進行すると神経系に異常をきたし、不安感や過剰反応、さらには筋肉の制御ができなくなる痙攣症状が現れます。最終的には呼吸困難や心停止を引き起こし、発症後の死亡率はほぼ100%とされています。このため、早期の対応が極めて重要です。

●潜伏期間は概ね1～2ヶ月
●発病から死亡までは2～6日
発症すると効果的な治療法はないため、発症の防止が鍵です。できるだけ早期に狂犬病ワクチンを接種する必要があります。

狂犬病の処置・予防

●　予防接種

狂犬病ワクチンの接種は、発症を防ぐ最も効果的な方法です。

●　曝露後の治療

咬傷を受けた場合、すぐに患部を洗浄し、医療機関でワクチン接種を受ける。

●　免疫グロブリン投与

深刻なケースでは、ウイルスの拡散を抑えるために使用されます。

狂犬病における最も重要な処置は予防です。事前に狂犬病ワクチンを接種することで、感染のリスクを大幅に軽減できます。また、咬傷を受けた場合には、即座に患部を石鹸と水で洗浄し、できるだけ早く医療機関を訪れることが不可欠です。医師によるワクチン接種や免疫グロブリンの投与は、発症を防ぐために行われます。適切な処置を行うことで、致命的な発症を防ぐことが可能です。

まとめ

狂犬病は、人間と動物の両方に影響を及ぼす致死性の高い感染症です。その原因となる狂犬病ウイルスは、感染した動物の唾液を介して伝播し、神経系に深刻な影響を与えます。症状は初期段階から進行性で、早期の発見と対応が生命を救う鍵となります。予防策としては、動物のワクチン接種や個人の予防接種が有効です。また、咬傷を受けた際の早期の処置と医療機関での適切な治療は、発症を防ぐために必要不可欠です。この疾患の重篤性を考慮し、普段からの予防意識を高めることが重要です。

おまけ

□ 狂犬病の歴史

狂犬病は古代から知られており、歴史的にも恐れられてきた病気です。19世紀にはパスツールによるワクチンの開発が行われ、現代では予防可能な病気となりました。

□ 世界の発生状況

狂犬病は現在もアジアやアフリカの一部地域で頻発しており、年間約6万人が死亡しています。

□ 身近な予防策

野良犬や野生動物との接触を避ける、ペットにワクチンを接種することで、感染リスクを大幅に減らすことができます。